2014年10月11日土曜日

レイン・ステイリーさんの歳を超えてしまった

のには薄々気がついていたんですけれど、なかなか感慨にふけるひまもないし、そもそもそんな話題を話す相手いないし。そんなことを考えつつ、帰宅してネット巡回を始めるとですね、

ライアン・アダムスが、アリス・イン・チェインズの「Nutshell」を最新ライブでカバー amass

なんですと。







ライアンうまいわ。
ざらついた声なんだけれど、深く響く声。レインよりもクリーンというか、透き通った感じがします。なんだかシューゲイザーの曲みたいだ。余計に曲の持つ寂寥感が強く現れているカバー。
ちゃんと最後のパートまで演奏してくれたところに愛を感じました。
ぐぐっと盛り上がるんです。

Alice In Chainsを初めて聴いたのは96年だと思います。MTV Unplugged。伯母に買ってもらった。ひばりヶ丘のパルコかどっかで。ちなみに伯母は別にロック・フリークではない。
目の前の数字のことはさっさと忘れてしまうのに、どうでもよいことはやっぱりよく覚えている。

大学院にいこー、と思って勉強のために英字新聞でも読むかな!という安直な発想のもと、大学の図書館にいって、真っ先に飛び込んできたレインの死亡記事。今でも強く印象に残っています。
たぶん初めて能動的に読んだ英語。あんま意味わかんなかったけど。



 

”Unplugged"の冒頭を飾る一曲目。オリジナルは"Jar Of Flies"に収録されているけれど、こちらのライブ版のほうがかっこいい。

Mtv Unplugged (W/Dvd)
Mtv Unplugged (W/Dvd)
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Alice in Chains
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レインの結末が残念なものであったから、この曲に特別な意味が付け加わってしまったように思うんです。
"Unplugged"で歌うレインは、既に自分の将来を見通していたのではないか。敗れ去りつつある自分を嘲りながら、歌ったのではないか。
この曲を聴きながらそんなことを考えた。
しかしこれは、逆境の中で叫ばれる闘争の歌であり、探求の歌だ。僕としてはそう信じたいな。


冒頭のライアン、曲の最後の歌詞をもにゃもにゃ、と歌う。最後は"If I can't be my own, I feel better dead"と歌われるんだけれど、どうもはっきりしない。鼻でも詰まってたのかもしれない。
そんなところではっとしてしまうのが、重度のありちぇん中毒者。

彼が亡くなってもう10年以上経つのに、どこか腫れ物に触るような、ヒリヒリとした感触だけが残っている。未だに光るソングライティングの確かさとともに、不吉な予兆を帯びてしまった、不幸な曲。
もしもライアンが、この最後のフレーズにいくらかの戸惑いを覚えながら歌ってるのであれば。多くのありちぇんファンが共有する戸惑いだろう。そんなことを考えました。

末永く、いろいろな人に歌われてもらいたい佳曲だと思います。


とりあえず満35才と3ヶ月なのでレインよりもひとつ上になりました。ファイティングポーズはキープしつつ、降参用のタオルを常に忍ばせつつ、生きていきたいと思います。
今後ともよろしくお願い申し上げます。