2013年6月23日日曜日

時間の消費と熟練と兵隊狩り

帰国。そしてバタバタ。
帰国の感想はいろいろあるんだけれど、帰国後研修について、うーん、と思ったので。

母校はある時期になると制服を来た自衛官の方が「幹部候補生募集」のためにいらっしゃっていた。林学科なのに。僕らはそれを「兵隊狩り」と呼んでいて、なんだかそれを思い出している。

国際貢献で働きませんか、被災地で働きませんんか?等々、様々な紹介があった。そう、多くの方はこれから就職活動があるわけです。当方は現職参加なので、いいなー、とか言われたもんですが、今現在の時点で明後日から働くとか結構厳しいんですけど。

帰国後のキャリアをどうするのかを考えるのはもちろん大切。でも特に被災地で働きませんか、っていうのが微妙な感じがして。いい面については復興庁のページでも参照して下さい。以下は僕が思ったことを。
復興に参加する、その志はもちろん買う。間違っているはずがない。ないんだけれど。

これはつまりテイの良い期間雇用でしょ、という感もあって。キレイな言葉を散りばめていたし、被災地で学んだり分かることもあるだろう。その後もずっと実際にその場所で働くということはあるかもしれない。
ただ、2年なり3年なり働いて、労働で得られる熟練があるのかといえば、当然ない場合もある。外から見てキャリアとして評価されるのかどうかも別の問題だ。
使用者側・行政側からみればたぶん僕らは「意欲のある、きわめて流動性の高い労働力」に見えてるはずなんだ。だって海外の辺境で働いて帰ってこれるくらいタフなんだから。これは利用価値がありますよ。オレだったらそれくらいの下心を携えて兵隊狩りをするな。
で、そこに20〜30代の時間をさらに費やすのが妥当なのか。そんなことも考える必要があるんだろう。

同一労働同一賃金だったらこのあり方はいいと思う。日本で言えば正社員の待遇を下げる。ここまで話が下りてくるなら、彼らの言うことを額面どおり信じてもいい。でも実際には正規非正規や勤続年数、熟練で待遇に差が出る社会に僕らは住んでいる。

看護士さんとか、既に熟練を手にしている人は当てはまらないかもしれない。でも兵隊狩りさんは「特殊な技能や資格がなくてもできる仕事があります」と云う。でもそれは良くもあり、悪くもある。
もし、「中の人」が「ボランティア・スピリッツ」なるものを煽って「きわめて流動性の高い労働力」を釣っていこーと考えているとしたら(その蓋然性はかなり高いと思うんだけど)、それは結構下衆な話だ。だって大義の名の下にその人の熟練を妨げている、ってことだから。
こんな勘ぐりは性格が悪すぎるだろうか。

もちろん単なる価値観の話だし、働く上で「必要とされてナンボ」ってのも正解。オマエは現職だからそんなことが言えるんだっていう批判も受け付ける。ただ、すでにサイは投げられているし、2年間は消費されてしまった。賭金は確実につり上がっている。

と、やたらと現実的なことを考えながら、多種多様な兵隊狩りさんたちの演説を聴かせていただいた。ああ、林野庁のやつは問題外ですね。
もう少し何か書きたい気がするけれど、明日から佐渡入りなのである。