2013年4月5日金曜日

メラルーカを間伐してみる③(選木と伐採)

14/10/2013 追記:
間伐試驗はいろいろ長くなったのでアーカイブできるようにしました。

①課題の整理 
②設計
③実施  ←イマココ
④結果
⑤損益計算
⑥今後の展望とか



その①(課題整理)、その②(設計)に引き続き。


というわけで仕込みは終わった。ひたすら汗臭い現場写真とともに伐採を振り返ってみたい。

間伐するからチェンソー貸して。とお願いしたら、ない。という。そんな林業会社があってたまるか。しかし、どうも本当にない。え?
公社は立木で森林を売却する。買手は森林を伐採し搬出する。公社の実質的な仕事は植林だけ。チェンソーはいらない。
んじゃ、伐採は?と訊くと、ナタで。細いから大丈夫、人足出すし、と仰られる。


○選木する
公社からは2人。草刈り係が一人と選木が二人。まったく設計がムダになったわけじゃなくて、一列あたり6本残すのが目安、ということが判っていたのでこれは割とスムーズ。ただ、雑草で被圧され、草地化している部分が結構あって、これは思った以上に成立本数が少ないかも。
そして全員ハチにさされるという事態。さらに奥に進むほどにさらにハチだらけという事態。うおおお。
エピペンってね、シンガポールまでいかないと買えないんだってさ。

刺されるのはいいけどいやだ。お嫁にいけなくなってしまう。なにより職員がやる気をなくしている。とにかくこれは5,000m2もできないぜ、冗談いっちゃいけねぇや、ボウヤ、という状態。なんで外国人たるオレが鼓舞しなければならないのか。それはオレのプロジェクトだからだ。わかってる。
両の手をじっと見る。腫れてる。そして、そっと面積を2,000m2に落とす。


こんな感じで目印をつける。黄色いスプレーが伐採する木。


○伐採
ようやく伐採、というところで思わぬ邪魔が。立て続けに発生した森林火災
人手は、消えさった。
2,000 m2に減らしたといっても700本以上伐採しなくてはいけない。そして、ばたばたしているうちに2013年の「開拓調査」が始まる。実にヤバイ、ヤバすぎるタイミング。

せめてボートくらい、と思ってもボートも出払ってしまった。フミ、待って。という言葉も聞き飽きた。ので、ナタをもって泳ぐことにした。バイクで30分くらい走って15mの堀を渡って200mくらい草地を歩いてもう一回10mくらいの堀を渡ってからの伐採。ひとり障害物競走もしくはひとりサスケ。
もうね、ほんとね、泳いでから伐採とかムリです、体力的にも精神的にも、ぼかぁね、泳ぐの苦手なんですよ、着いた時点で既に疲れてましたよ、息してなかったですよ、帰りまた泳ぐとか考えると、ホントうんざりでしたよ。
帰りは通りがかりの舟をつかまえてちょっと楽できた。岸まで連れてって!という悲哀に満ちた叫びがベトナム人の琴線に触れたんだと思う。

自分、蒲柳の質なのであんまり無理はさせないでほしい。
盃を片手に傍らには美姫、朧月でも愛でながら和歌とか詠ませてほしい。


結局一人でやったのは一日だけ(80本ほど伐って肩が終了)で、残りは公社がやりくりしてなんとか二人工面してくれた。ワーカーのおっちゃんたちはものすごくパワフルだけれど、終了は早い。実質一日1〜2時間くらい。
最近のウミンの気温は33〜34度。一年で最も暑い時期。日中は仕事なんて出来る気温じゃないので、朝6時に林のある支所にいって9時には林を上がるスタイル。お昼寝は2時間。
いや、感謝しきり。ありがとうございます。


やっぱりワーカーさんにも意見があって、伐る/伐らないの基準について話し合った。売れる木は残すべきで暗くても伐るべきじゃない、と云う。一応こちらの方針は伝えて、スプレーでマークしてあるものを伐るということは了解してもらったんだけれど、伐らないと判断されたものもかなりあった。一方で、挽回を期待して残した細い木は「ものにならん!」と伐られたりしてもはやカオス状態。もう何本伐ったかわからん。設計とは一体何だったのか。




都合、5日かけて伐採を終える。僕自身が完全にワーカーと化していたため、あんまり写真が撮れなかった。
実際、バイク用のヘルメットは手持ちのワードローブの中でもっとも防御力がある。枝落ちてきても大丈夫だし、頭をハチにさされないし、なによりもかぶってればパクられない。この2年間で4回ヘルメットを買った者としては。




終わってみるとそれなりの林になっているように見えるのが不思議。林床を見ると林を荒らしたようにしか見えないけれど、空が見えて明るくなった。




使えそうな木材は持ち帰り。おっちゃん、家の修理に使うという。それ会社の所有物なんじゃね?という素朴な疑問を飲み込んで、僕はうなずく。


この間伐試験地の造成が僕の活動の中での最後のプロジェクト。
なにしろ終わってよかった、という安心感が先に立つ。

そして④に続くのだ。